0 / 00:00
天神の老舗「みすゞ庵」最後の一日 名物のカツカレーそばを味わう人たち 73年の歴史に幕 福岡
字幕
福岡市・天神で親しまれてきた、そばの老舗「みすゞ庵」が、
73年の歴史に幕を下ろしました。
惜しまれつつ最後の営業を迎えたその一日を、
カメラが見つめました。
福岡市・天神のそば店「みすゞ庵」。
営業最終日となった20日、開店前から常連客などが長い列を作っていました。
■常連客
「最初、祖父に連れられて、ざる丸天がおいしかった思い出があります。閉店が発表されてから、結構通いました。あとは笑顔で見送る。」
同じ頃、店内ではいつもと変わらず、開店の準備が進んでいました。
■みすゞ庵・小籏直幸 店長
「行列は、みすゞ庵を愛してくれていた結果だと思うので、真摯(しんし)に受け止めて、喜んでいただけるものを提供したいと思っています。」
天神ビッグバンによる再開発事業が相次ぎ、
変貌を遂げつつある繁華街・天神。
「みすゞ庵」があるのは福岡市役所の目の前で、
ベスト電器福岡本店が入るビルの1階です。
午前11時、最後の営業が始まりました。
■店員
「2人?ここ2名様。次のお客様どうぞ。」
店内はすぐに満席になりました。
「みすゞ庵」の創業は、今から73年前の1952年です。
天神で働く人たちや買い物に訪れた人たちのおなかを満たしてきました。
店の看板メニューは「カツカレーそば」です。
■店員
「そばカツ4杯~。」
揚げたてのカツに、サバや昆布などのだしと甘辛い和風のカレーを合わせた人気の一杯です。
次々に注文が入り、多くの客が名物の味をかみしめていました。
■常連客
「だしとスパイシーなカレーの風味が大好きで、通わせてもらっていました。」
「最初は母親と市役所(を訪れた)流れで来店して、味が良くて忘れられない。」
「本当に食べられないとなると、寂しい気持ちながら最後の一口をかみしめて食べました。」
「さみしいですね。場所を変えてでも続けてほしかったです。」
店を閉めることを決めたのは、人手不足が続き、
営業の継続が難しくなったためです。
最後の営業は開店から4時間で、用意していたそばやうどんおよそ550杯が完売しました。
■みすゞ庵・小籏店長
「本当に皆様に愛されていたんだなと思いますよね。代々引き継いできて悲しい気持ちもありますが、皆さんに笑顔で帰ってもらったのなら、やっていてよかったなと幸せな気持ちでいっぱいです。」
繁華街の真ん中で73年の長きにわたり、
多くの人に愛された「みすゞ庵」。
感謝とともに、その歴史に幕を下ろしました。